「事故を起こさない職場づくり」を徹底
遵守事項・構内ルールの明確化で安全を確保
現場視察を通じて食品サプライチェーンの仕組みについて理解を深めたい———。大学で流通論を専攻する学生さんたちが当社の物流センターにやってきました。温度管理が必要な食品が実際にどのように扱われているのか、という本題に入る前に、まずは物流センターで働くスタッフたちの安全をどのようにして確保しているのかについてご説明させていただきました。
物流現場にはキケンがいっぱい
物流センターの様子はYouTubeの動画などで見たことがありましたが、実際に現場にお邪魔するのは今回が初めてです。たくさんスタッフの方々が働いているのですね。予想以上です。
最近では機械やロボットを活用した省人化の進んだ物流センターも増えてきましたが、まだまだ多くの物流現場で活躍しているのはヒト。つまりマンパワーが主力で、当社のセンターも同様です。そのスタッフたちが日々、快適に、そして安全に働ける職場環境を、会社組織として、どうやって構築し、維持していくべきか。物流業界で人手不足が深刻化する中、「快適で安全な」職場でなければ、働く場所として選んでもらえなくなるという危機感もあります。
物流現場は「きつい、汚い、危険」の3K職場と言われていると聞きました。しかし、センター内を見渡すかぎり、キケンという印象は受けませんが・・・。
高い所に重い荷物が置いてある。パレットという荷台に載せている荷物は、1つのかたまりで数百キロから1トンの重さになります。あのかたまりが地震などの振動で上から落ちてきて、その下に作業スタッフがいたら、どうなってしまうか・・・。また、構内では自動車も走っている。荷役用のフォークリフトのことです。作業中にそのフォークリフトにひかれてしまうかもしれない。このように物流現場にはキケンがいっぱいなのですが、作業時のルールをきちんと決めて、それを遵守できれば、事故は未然に防ぐことができます。
服装の乱れは労災事故につながる
どのようなルールがあるのでしょうか?
まずは服装ですね。物流センターのスタッフには、会社で定めた作業服、帽子、安全靴の着用を義務づけています。暑いから、寒いから、といって自由な服装を認めたりすることはありません。しかし、これは非常に残念で、恥ずかしいことでもあるのですが、過去にはこの服装規程を守らず、安全靴を履いていなかったため、空パレットを誤って自分の足に倒してしまい、足の指を骨折する、という事故を起こしたケースもあります。服装の乱れは労災事故につながります。
フォークリフトを運転しているスタッフさんはヘルメットをかぶっています。
フォークマンはもちろん、高所で作業するスタッフにもヘルメットの着用を義務づけています。ヘルメットは、頭にちょこんと載せるだけではなく、あごひもをきちんとかけることを徹底しています。いざという時に、ヘルメットが脱げてしまっては意味がありませんからね。
服装以外にもルールはありますか?
物流センターの構内では、スタッフやフォークリフトが自由に動いているように見えるかもしれません。しかし、実は動いていい場所はルールで決められています。スタッフ、フォークリフト、台車など、それぞれが通っていい場所をラインで識別しています。これを「構内通行帯」と言います。構内通行帯を明確にし、スタッフとフォークリフトの接点を減らすことで、接触などのリスクを回避しているわけです。
パレットに載っている荷物がきれいに並んでいますが・・・。
気がつきましたか。パレットやクレート(ケース)、段ボールなどについて、この商品を積みつける場合には、何段積みまでオーケーといった「積みつけ」ルールを決めています。これは、商品を破損させない、という意味合いもありますが、重ねすぎが原因で荷崩れを起こして、スタッフがケガをしてしまうことを防ぐという目的もあります。また、積みつけた荷物を移動させるときに荷崩れを起こさないように、荷物には紐がけやベルト、ラップ巻きを施すことも徹底しています。
センター内をざっと見渡すだけでは気がつかない細かな配慮やルールがあるのですね。とても勉強になりました。